升田幸三とGHQと高校野球

 戦後、連合軍統治下にあった日本は、戦意をあおりそうなものを禁止しました。
 剣道などと同じく将棋も禁止されるのおそれがあったそうです。事情を聞くため、将棋連盟の看板棋士・升田幸三がGHQに呼び出されました。升田は、昭和の大名人・大山康晴の兄弟子にしてライバルでした。「新手一生」を標榜して独創的な戦法や新しい手を生み出し、いまでも将棋ファンから愛される棋士です。
 GHQと会見したとき、まず最初にビールだかウイスキーだかを出せといったとか。そして以下のような話し合いになるのですが、こまかいところは本によって異なる点があるので、いま読んでいる『教養としての将棋』から引用します。世界にチェス(将棋)系のゲームはたくさんありますが、奪った駒を使えるルールがあるのは日本の将棋だけ、という点に注意してお読みください。

 有名な話がありますね。日本の敗戦直後に、将棋は戦争につながるものだから禁止しようと考えたGHQ(連合国総司令部)が升田を呼び出し、「日本の将棋は相手の駒を取ったら自分の持ち駒として使うが、これは捕虜の虐待ではないのか」と難癖をつけた。すると升田が「虐待とはなんだ。捕虜でも差別せず仕事をさせているんだ。おまえらのやっとる西洋将棋(チェス)こそ、捕虜は使わずに殺すし、キングを守るためには女(クイーン)まで犠牲にするじゃないか」などとまくしたて、GHQの面々を「こんなによく喋る日本人は初めて見た」と妙に感心させて、そのおかげで将棋は禁止にならずにすんだ、という。

 将棋界ではよく知られた升田伝説のひとつです。

 おお、いまふと思いついた。
 高校野球の予選で、ベスト8からは、勝ち上がるたび敵のエースをいただくというのはどうでしょうか。甲子園出場を果たしたチームは投手が3人増えます。このシステムであれば、弱小チームもベスト8を目指せば投手だけは甲子園に行ける可能性もあります。おらが高校から初めての甲子園出場だ、応援に行くぞ! って、いいじゃん。
 将棋の国の高校野球
 われながらグッドアイデアだ。